エレベーターボーイ

昨日図書館に行った。

 

雑多なビルの3階にある小さい図書館。

 

本だけ返して、何も借りずにエレベーターに乗って帰ろうとしたとき、1階から乗ってきた男の人が先に降りてきた。

すれ違って中に入って1階のボタンを押そうとしたとき、すでにボタンが押されていることに気づいた。

 

エレベーターのドアがゆっくりしまっていくその時、ドアの間から、降りかけていた男の人が顔をにょきっとのぞかせて、親指をぐっとたててこう言った。

 

「押しときました」

 

私は困惑しながら、閉まりゆくドアと、得意げな顔の残像を見つめていた。

おお、きみはエレベーターボーイ。

 

日曜日

日曜日は、朝起きたときからちょっぴり切ない。今日が終われば、明日は月曜日だって、どこかずっと心のすみっこで思いながら、そんなことはおくびにも出さずに、せっかくの日曜日を満喫しなければならない。

 

引越の荷物を、ちょっとずつ運びながら、半分くらい物が失われた部屋で、寝不足の顔で起きる。しばらくそうじと片付け(←苦手)をして、お昼まえに、はたと朝ごはんを食べていなかったことに気づいて、よれよれでだぼだぼでしわしわの黒いトレーナーと、毎日ほぼこれしか履いていない茶色のズボンと、小指だけ変なところから出てしまう壊れかけのサンダルで近所のパン屋を目指す。灰色のシャッターを前に、日曜日はやってなかったことを思い出し、少し遠くのカフェに行きかけるも、壊れかけのサンダルで、遠くまで歩いていける気がせず、近くの薬屋でいっか、となり、舞い戻る。薬屋で安いコーヒーと、パサパサのチョコチップパンを手にし、人のいないレジでしばし待つ。ポイントカードを出して、もう引っ越すから、「使えるポイントたまってますか?」って勇気を出して聞いたのに「たまってないです」と言われて、2年も住んでるのにたまってないなんておかしい!と心の中で思う。財布の中に、もう1枚ポイントカードを見つけて、きっとこっちにたまっているんだよ、と自分を慰める。レシートと一緒に出てくる、1回もうまく使えたことのないクーポン券を、くしゃくしゃにしてズボンのポケットに入れる。家に帰ろうとして、今日は青空まんてんのポカポカの日ではないか、と思いなおし、近くの人のアパートの駐車場の、タイヤを止める棒のところにちょこんとすわって、パサパサのチョコチップパンをくわえる。通り過ぎる自転車を、自転車は速いなーと思いながらただ眺める。ボサボサの髪。

 

そんな私の素敵な日曜日。

 

サーカスナイト

よしもとばななのサーカスナイトを読みました。もう少し、自分の心にゆとりがあるときに読んだらよかった。人がたくさんのエネルギー労力をかけて作り上げたものを、自分のもてるせいいっぱいの感受性で受け止められないとき、少しうしろめたくて残念な気持ちになるよ。

 

「気持ち悪いこと、直してからでいい。世界を両目で見ること」

って、リーガルリリーも言ってた。

気に入った文章をメモしてみるよ。

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・何より大切なのは心の姿勢

・まだまだ私、悲しくて人をすきになったりしないんです

・あるものをないことにするのが一番いけないのだ

・人生の特別な1日にジャンプするためにはどうしたって、この確かに積み上げた土台が必要なのだと。

・この人の未来の中に入った自分がそんなに楽しそうじゃない。

・どんなにつまらなく見えても、その見る側の目の問題なんだと、今では本当に思っています。

・どんな水でももともとの水になじむところに住むのがきっと一番

・その分量の計り方すべてが、私とは違うが納得がいくものだった。

・若いってつまり自分だけ、ってこと

・俺の憧れのスナフキンみたいだった

 

はじめる

ブログを始めてみます。

といっても、今まで紙に書いてたことを、ここに書くようになるだけなのだけど。

 

東中野のポレポレにて、考え事をしています。もうすぐ双子とその恋人と、きりたんぽパーティーが始まるため、私はきりたんぽ求め、引っ越しの準備を投げ捨ててやってきたのでした。

 

3月は移り変わりの季節です。

色々な取るに足らないことが忙しくて嫌になっちゃいます。他人に自分のご機嫌をとらせるな、そんな言葉に強く共感したことと、じゃあご機嫌ななめの感情はどこへ行くの、という素朴な疑問。いつだってそんな矛盾をたくさんに抱えながら、あんまり考えすぎずに生きてゆかねばならぬのです。

 

とりあえず今日は、きりたんぽぽ。もう春です。